再びの学園行事

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俺達の前を走っていた生徒の反応は様々だった。 1人は立ち止まって防御魔法を展開。1人はさっきの俺達のように全力で逃走。1人は行動する時間も与えられずに黒焦げ。などなど……。 しかし最奥の1人が取った行動は、“攻撃魔法で相殺”だった。 どんな効果か知らないが、龍牙の放った炎が先端からじわじわと黒に浸食されていく。かと思えば、燃えカスのようにボロボロと崩れ始めた。 「チッ……やっぱ簡単にはいかないか」 苦々しげに腕を振って魔法を止める龍牙。炎が消えて露わになったのは、こちらに片手を翳している架神の姿。 「アイツは無視だ。あれに構ってたら追い付けるもんも追い付けねぇ。今のうちに差を詰めるぞ」 言われるまでもなく、俺と彩華は走る速度を上げていた。 「まったく、儘ならないものだな。【雷鳴】」 「こうなったらペース配分なんて言ってらんないよ。マジで最悪だ。【光矢】」 文句を言いつつ、近くにいる生徒に初級魔法で牽制。躱すか防ぐかしてできた隙を龍牙の魔法で突いていく。 そうして長い廊下を走り終え、矢印に従って3階から1階へ一気に駆け下り、ようやく校舎を抜けることができた。 えーっと、確か次は講堂だったな。  
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