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渡り廊下を駆け抜け、講堂に飛び込んだ俺達。厄介なことに、ここはすでにトラップが作動していた。
「巨大迷路……?」
3メートル程の壁に挟まれた、人が3人並べるだろう広さの道。ぱっと見たかぎり、少し進んだ所で左右に道が分かれている。
「運がいいと言えばそうだな。私達からすれば先頭に追い付ける可能性のあるトラップだ」
「でも、逆に差をつけられる可能性もある」
「ショートカットは禁止。この壁をぶち破るのがダメってことは正攻法で突破するしかないってことか。でもまぁ、俺達には関係ねぇな」
立ち止まって壁を見上げていた俺達の隣を、
「お先に」
特に何をするでもなく、E組の男子が駆け抜けていく。足音で気付いていたけど、何もしないってのは意外だ。まぁ、俺だって龍牙がいたら手は出さないけどな。
そうして右の道に消えていく男子を見ながら、3人揃って顔を見合わせる。
「ぐずぐずしていても仕方ない。これ以上後続が来る前に私達も行こう」
俺と龍牙は頷き、彩華の後ろに付いて迷路に突入。
「頼むぜ、彩華。お前の勘が頼りだ」
「外れても文句は言わないでくれよ?」
最初の分岐点は左へ。彩華の選択に迷いはない。マジで直感的に進んでるんだな……。
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