再びの学園行事

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次の瞬間、東條の手が一瞬輝く。かと思えば、俺を押し退けるように横から彩華が割り込んできた。 「なっ!?」 何が起きているのかわからない。だが、東條と彩華の間の空間(やや彩華寄り)で雷が弾けるのを目にした途端、ようやく事態に気付くことができた。 「どうやら嬉しいことに、俺達が先頭になっちまったみたいだぜ!」 彩華に続いて龍牙も後ろに立ち、右手の指それぞれに小さな火球を作り出す。そのままボールを投げるが如く、5つの炎を架神達に向けて投げつけた。 不規則な軌道で飛んでいく火球は、架神達に当たるかと思いきや、目前で火球同士がぶつかり合って爆発する。それによって生じた黒煙が架神達の姿を隠し、俺はこの攻撃の意図が目くらましだと気付いた。 「さぁ逃げるぞ。状況はさっきより厄介だけどな」 走り出すより先に黒煙が晴れる。恐らく嵐の魔法で吹き飛ばしたな。確かに厄介だ。 東條の攻撃以降、向こうに攻撃の意思はないらしく、俺達は後方に注意を払いながら、お互い走ることに専念する。 そして辿り着いた体育館の扉を開けた俺達の目に飛び込んできたのは、おかしい程に広いだけのどこにでもある体育館の景色。講堂と同じく、正面にある反対側の扉が出口になっている。 何も無い。だからこそ、ある。 「トラップあるぞ。気を抜くなよ」  
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