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3人揃って床を転がり、壁に激突。
「ぐぇ……!」
幸いにも龍牙がクッションになってくれたおかげで、俺と彩華にそこまでのダメージはなかった。
「すまない、龍牙。おかげで助かった」
「サンキュ。いいクッションだったよ」
「……俺の扱いがひでぇ」
とまぁ、悪ふざけはこのぐらいにして、俺達を吹き飛ばした暴風に目を向ける。
一言で言えば、竜巻だった。
この体育館の中央を中心として、行く手を阻むように渦巻いている。一見すると両サイドから抜けそうに思えるが、恐らく風に捕まって渦中に呑み込まれるだろう。
「ってか、ホントにお前の魔法じゃないんだな?」
俺は少し離れた所に立つA組3人の中の嵐に向かって、やや声を大きめに訊ねる。これが嵐の魔法ならなんとかなるかもしれないんだけど……。
「だから違うっての! 俺の仕業ならこんなチャンスに進まないはずないだろ!」
大声での返答。ってことはこれがここのトラップか。
ふと、何となく架神に視線を向ければ、アイツは俺と嵐のやり取りなんて聞こえていないかのように、冷静な目で竜巻だけをじっと見つめていた。
今アイツの頭の中でどんな算段が立てられてるのか知らないが、こっちも負けてられない。とはいえ、俺じゃ大した案も思い付かないため、例によって龍牙に任せることにした。
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