再びの学園行事

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「龍牙。突破方法は?」 「ないこともない。けど、今回はあちらさんの策を使わせてもらおうか」 ニヤリと意地悪く口端を吊り上げる龍牙。その視線の先には、嵐に何かしらの指示を出している架神がいた。 「風属性の魔法には、風属性の嵐をぶつける。当然の選択だな。俺の合図で走れ。ぴったりと張り付いてやる」 俺と彩華は頷き、いつでも動けるように架神達の動きに集中する。 一方、A組の3人は、嵐を頂点にした三角形の陣形で並んでいた。ちなみに、左後ろが架神で右後ろが東條。 「なるほど。そういうやり方かよ」 龍牙には3人が何をしようとしているのかわかっているみたいだ。俺にはさっぱりだけど。 「彩華はあれ見て何かわかる?」 ちょっと気になったので訊ねてみると、彼女は自信なさげに口を開く。 「まぁ、漠然と」 「わかるのかよ!」 これってやっぱり魔法歴の差なのかな……? なんて思っていると、ついに3人が行動を起こす。 三角形の陣形を維持したまま暴風に向かって走り出す3人。 「いくぞ!」 龍牙の小さくも鋭い声を合図に、俺達もA組の後にくっ付いて走り出した。  
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