再びの学園行事

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「だがここまでだ。お前達にはここで止まってもらう」 突如足元から噴き出した黒い炎。咄嗟に急ブレーキを掛けて後ろに跳び退く。 これは、さっき架神が使ってた防御魔法……。文字通り俺達の進路を塞ぐ壁ってことかよ。 これだけなら迂回するなり、魔法で正面突破するなりできた。しかしそれより早く、炎の向こう側から飛んできた黒い槍の雨が降り注ぐ。 「ヤベッ……!」 龍牙と彩華も守れるように【聖光防壁】を展開。ドーム状に広がった光の壁に十数の槍が次々と突き刺さった。 「では、僕達は先に行く。精々頑張るんだな」 その間にも再び道が開き、すぐに閉じていく。槍の雨が止んで炎が消えた時には、暴風の中にA組3人の姿はなかった。 「どうする、龍牙? 私達も同じ方法で進むのか?」 若干焦った様子の彩華が声を掛ければ、龍牙は辺りを見回しながら舌打ちを漏らす。 「嵐抜きであの方法は厳しい。無理とは言わねぇけど、時間と魔力を消費するな。あの野郎、俺達が一緒に走り出した時からこの中に閉じ込めることを考えてやがった」 つまるところ、詰み。 風属性なしで架神達と同じことをするか、後続の誰かが同じ方法で来るのを待つか。どちらにしろ、3人に追い付くことはできない。  
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