再びの学園行事

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足を肩幅より少し大きく開いて腰を落とし、両腕を横に伸ばして行く手を阻む嵐。こっちは3人だから別々の方向に走れば突破できるというのが普通の考えだが、魔法という存在がある以上、そう上手くいくかどうかも怪しい。 しかし、止まってる余裕はない。 2人も同じ考えだったようで、俺は左、龍牙は右、彩華は正面というルートで嵐の突破を試みる。 「彩華ちゃんが俺の胸に飛び込んでくる! って喜びたいところだけど、任されたからには止めさせてもらうぜ!」 言うや、嵐は小さく唇を震わせた。唱えたのは魔法名。その証拠に、彼の両腕に青み掛かった風が巻き付いていく。 ――来る! そう思った瞬間、嵐は短い悲鳴をあげて右手を押さえた。 「は?」 当然、放とうとしていた魔法は中断。俺と龍牙は呆気なく嵐を突破し、俺はわけがわからず足を止めてしまいそうになる。 「止まるな、行け!」 そんな俺に声をかけたのは、嵐の前で右手を翳した彩華だった。 「行くぞ、光輝! 嵐は彩華に任せる」 何となく状況を理解した俺は、龍牙と共に架神達の後を追う。まだそこまで距離は離れてない。追い付くことは可能だ。  
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