再びの学園行事

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◆ ◆ ◆ ◆ 「いやー、マジ痺れたよ、彩華ちゃん。これって恋かな?」 「いや、威力を抑えた雷属性の初級魔法だ」 「んな真面目に……」 雷撃に貫かれた右腕をぷらぷらと揺らす嵐は、先を行く4人の後ろ姿を横目に見やる。続いて、正面に立つ彩華の背後から迫る後続達にも。 「正直、彩華ちゃんとは戦いたくないんだよね。でも2人も突破されちゃったからにはこれ以上ここを通すわけにはいかない。さて、どうするか」 言葉とは裏腹に、不敵な笑みを浮かべる嵐に悩んでいる様子はない。対する彩華も呆れたようにため息を漏らすと、艶やかな黒髪を揺らしながらくるりと反転。嵐に背を向け、迫る後続と向かい合う。 「今から追っても追い付けないだろうし、ここはキミの案に乗るとしよう」 「さすが彩華ちゃん。んじゃ、共闘といきますか」 刹那、吹き荒れ轟く、風と雷。 向かってくる後続を押し返すような強風と、向かってくる後続を貫かんとする雷撃。A組を雷、B組を風が襲い、クラス問わず様々な防御魔法が展開される。 「意外と抜かりがないな、キミは。B組は見逃してくれてもいいじゃないか」 「女の子は通してやってもいいんだけどな。彩華ちゃんこそ、A組は見逃してくれね?」 「それは無理な相談だ」 「同じく」 そんな意味のない会話に意識を向けていたからか、2人は炎の防御魔法を展開しながら進んできていた男子の背後から飛び出してきた影に気付くのが遅れてしまった。 「ニャハハー! お先に!」 「お前は……!」  
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