再びの学園行事

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こうなってしまったら俺のやることは1つ。 「龍牙、後は任せた!」 「おぅ!」 すかさず返事を背中にぶつけられ、こちらを振り返らずに駆けていくのが足音からわかる。んじゃ、俺は俺の仕事をするとしますか。 【明光剣】から片手を放し、龍牙の後を追って俺達の横を駆け抜けようとする東條に向ける。鍔迫り合いの状態で片手を放すなんて無茶なのはわかっているから、俺にできる最速最短の動きで事を成すつもりだった。 「邪魔だ」 だが架神がそれを許さない。俺が手を放すや、黒刀の刃を滑らせて【明光剣】の剣先に力を込め、叩き付けるように剣先を地面に押し付けられる。かと思えば、片足を軸にくるりと架神が一回転。 次の瞬間には、肩と背中に走る痛みと共に、俺は地面を転がっていた。 転がりながら見えた架神の姿は持ち上げた足を下ろす動き。明らかに回し蹴りだ。 「っんの野郎……!」 歯を食いしばって地面を叩き、即座に跳ね起きる。ズキズキと痛む患部に顔をしかめながらも、今にも走り出そうとしている架神の方向に片手を翳した。 「【光焼波】」 俺の放った光線は架神を狙ったものじゃない。その前方の空間だ。直接狙っていたら防がれていただろうけど、当たらない場所への攻撃は防ぐ必要がない。止まればいいだけの話だからな。 「チッ……」 俺にも聞こえるように舌打ちを漏らし、忌々しげにこちらを睨み付けてくる架神。毎度のことだけど怖ぇって……。 「でも、お前だけは素直に通すわけにはいかないんだよ」  
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