再びの学園行事

107/115
前へ
/217ページ
次へ
◆ ◆ ◆ ◆ 《さぁさぁさぁさぁ、ここでようやく先頭走者のお帰りです! トップはB組。そしてそれを追うA組。あとはトラックを1周するだけ! 後続がいない今、果たしてどちらのクラスが勝者となるのでしょうか!》 グラウンドに近付いたことで再び聞こえてくる実況。それによってゴールが近いことを実感しながら、龍牙はグラウンドに続く道を駆ける。 その彼の後ろを走るのは、A組の代表走者、東條 睦月。 「くっ……。【雷鳴】」 なかなか埋まらないわずかな差に業を煮やす睦月。青白い光を纏い、バチバチと稲妻が弾ける右手を龍牙に向けた矢先、彼の手元から一筋の閃光が放たれた。 「っと」 それは目にも留まらぬ速さ。しかし龍牙は軽く横に跳び、危なげなく躱してみせる。 その後も2発、3発と閃光が瞬くが、ことごとく避けられ当たらない。その間にも、龍牙は最後の1周を走るべく、グラウンドに足を踏み入れた。 入場門を潜ったところで歓声が湧き上がり、B組からの声援が飛ぶ。遅れて、A組からの激励。 (直線的な攻撃じゃ当たらない……) その声を受けながら思考を働かせた睦月は、トラック半周地点の直線で一か八かの賭けに出た。  
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8110人が本棚に入れています
本棚に追加