再びの学園行事

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◆ ◆ ◆ ◆ 《ゴーーーール! ゴールです! 長き戦いを制し、見事勝利を手にしたのは、1年B組!》 耳に届く実況の綾部さんの声。恐らく魔法を解除したんだろう、相変わらずハイテンションのその声は俺達の所にも確かに響き渡っていた。 「あちゃー、負けちゃった。もう、2対1なんて卑怯だよ!」 ビシッと擬音が付きそうな勢いで俺と架神の間を指差す萩野。彼女の健康的な身体には目立った外傷はない。 短時間とはいえ、俺と架神(主にコイツ)の猛攻を見事に防ぎ切ったからだ。 使った魔法は多くない。自分の周囲に風の盾を展開するあの魔法、【風陣昇】。それだけだ。 もちろん貫通力のある魔法も使ったが、そのタイプの魔法は直線的な動きのものが多く、防御魔法を展開されることなく躱されてしまった。 多分本気を出してないだろうが、あの架神から逃げ切ったことは見事の一言だった。 「……」 隣で沈黙を貫く架神は探るような目つきで萩野を眺め、やがて唐突に踵を返してグラウンドとは反対の方向へ歩き始める。 その様子をぼんやりと見つめていると、同じように架神を見ていた萩野がこちらに視線を向けてきた。  
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