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「お疲れー、神城くん。いやー、危ない危ない。【風陣昇】しか詠唱破棄できないからあれ以上の攻撃が来たら厳しかったよ」
人懐っこい笑みを浮かべた萩野は、片手を上げながらこちらに駆け寄ってくる。あまりの切り替えの早さに思わず苦笑。何となく萩野の人柄がわかった気がした。
「これで全部の種目が終わったね。まさか魔法を使う体育祭を経験できるとは思わなかったよ。やっぱこの学園に来て正解だったわ」
楽しそうにはしゃぐ萩野のテンションは一向に下がる気配がない。コイツみたいになれたら人生楽しそうだな。
「さて、それじゃ私は行くよ。後ろに仲間を置いてきてるからね」
そういえば、後ろと仲間という言葉で思い出した。
「なぁ、萩野。来る途中にA組とB組が戦ってたと思うんだけど、それはどうなってた?」
俺としては、あの場に残った彩華と嵐の決着を知りたかったのだが、何故か萩野は踵を返しかけていた動きを止め、再びこちらに向き直る。
「そうそう聞いてよ! その2人が手を組んでてさ、私達を足止めしてきたの! でもまぁ、隙を突いて突破してきたけどね。元陸上部をナメてもらっちゃ困るよ」
ふふん、と得意気に胸を張った萩野は今度こそ踵を返す。しかし首だけこちらに向け、挑発的な笑みを浮かべながら口を開いた。
「まだまだ魔法に不慣れな新入生同士、共に精進に励もうではないか、少年よ」
「あぁ。同じ新入生同士、困ったことがあれば助け合おうぜ」
桐沢にも言った台詞。助け合いは大事だからな。
「んじゃね~」
ニッと笑って走り出した彼女は、あっという間に元来た道を戻っていった。
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