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1年生とは違い、やはり2、3年生のレースは魔法の応用力が高く、戦術を取り入れた高レベルのものだった。次々と繰り出されるトラップや高等魔法に、俺達から漏れたのは感嘆ばかり。
ちなみに隼人先輩が出場していた3年生のレースはD組の勝利という結果だった。他のクラスはしっかり先輩対策を施していて、戦術を含めた実力の近い相手が複数いたことに先輩も苦戦。一見無敵に見える隼人先輩がいても、個では集団に勝てないということか。
そんな感じでいろいろと学びつつ、長かった体育祭はいよいよ閉会式を迎えた。
「えー、まずはお前達、今日の体育祭はご苦労だった。個人的には最後のレースが悔しくて仕方ないが、作戦勝ちだ、文句は言わない」
開会式の時と同じく壇上でマイクを手にする隼人先輩。そんな先輩の言葉に、3年生の列の方から歓声とハイタッチの音が聞こえてくる。そりゃ、先輩に勝てたら嬉しいだろうな。
「さて、皆疲れているだろうし、俺としても長々と話すつもりはない。お待ちかねの最優秀クラスを発表して終了としたいと思う」
次第に歓声は止み、グラウンドに沈黙が訪れる。俺の頭の中では先輩を照らすスポットライトと共にドラムロールが鳴っていた。
「では、発表する。最優秀クラスは――」
一度大きく息を吸った先輩は、勿体振ることなく口を開いた。
「1年A組!」
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