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「降谷さん。約束通りやらせてもらいますよ」
その時、河瀬先輩が静かに口を開く。
それに対して修司さんが頷いた瞬間、先輩の姿が消えた。
『えっ!?』
首筋を流れる冷や汗。固まる身体。
俺の首元には刀の切っ先が突き付けられていた。
もちろんその刀を握っているのは河瀬先輩。
「先輩……?」
「これでお前は1回死んだ。次は反応してくれよ?」
そう言って先輩は一度刀を引くと、再び突き出してくる。
「っ!」
咄嗟に頭を下げて後ろに跳ぶ。
――何なんだよ、一体!
状況が呑み込めないまま、両手に刀を呼び出す。
「二刀流か……。話には聞いていたけど、面白い戦い方だな」
河瀬先輩は刀を振って空を斬ると、両手で柄を握って刀を構えた。
「本気で戦ってくれよ? じゃないと意味がないからな」
「どういう――」
俺が口を開く間もなく、再び先輩の姿が消えた。
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