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――速いっ！
不意打ちだった初撃は仕方ないが、集中している今の状態でも先輩の動きがチラッと見える程度。
左横を駆け抜けた先輩を目で追えば、すでに先輩の姿はない。
「どこに……」
「こっち」
声が聞こえたのは後ろ。
慌てて右の刀を振るうが、見事に空振り。
同時に、俺の首に冷たい物が当てられた。
「これで２回目。せめて一太刀ぐらいは浴びせてほしいな」
再び背後から聞こえてきたのは、余裕そうな河瀬先輩の声。
――上等だ。やってやろうじゃねぇか！
俺は振り向き様に、首に当てられていた先輩の刀を弾き、素早く反対の手の刀を振るう。
後ろに跳んで躱す先輩を見て、逃がすまいと地面を蹴った。
「いいねぇ。どんどん来い」
左の刀を振るい、先輩が受け止めたのを見計らって右の刀も振るう。
しかし先輩はその場でしゃがんでそれを避け、俺の足を蹴り払った。
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