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――今だっ!
「まだまだあっ!」
俺はここぞとばかりに両腕を振るう。
先輩に反撃の隙を与えないように、速く、鋭く。
右と左を交互に。時折フェイントを入れたり裏をかいたり。
だが、そんな攻撃も先輩にとっては苦ではないらしい。
反撃こそしてこないが、余裕の表情で冷静に連撃を受けている。
まるで、わざと振らせているように……。
――そうですか……。だったら奥の手だ!
刀を握る手に力を込め、その時が来るのを待つ。
現状ではこれが最後の手段。失敗すれば他に手はない(と思う)。
そして、左の刀が弾かれたその時、
――来たっ!
右の刀が俺の手を離れた。
それは先輩が弾いたわけじゃなく、その逆。
俺が先輩に投げつけたんだ。
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