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「それが学園長の武器ですか?」
「えぇ、そうよ」
「ただの布じゃないんですよね?」
「攻撃してみればわかるんじゃない?」
坂上の問いに淡々と答える真衣さん。
すると坂上は眼鏡の奥の瞳を鋭くし、キッと真衣さんを睨み付ける。
「なら……遠慮なく!」
左手と左足を後ろに引き、何も持っていない左手を振り抜いた坂上。
彼女の手から放たれたのは、あるはずのない短剣。
同時に、坂上も地面を蹴る。
対する真衣さんは特に焦った様子もなく、自身に迫る短剣と、その後ろから駆けてくる坂上を眺めていた。
そして短剣が十分に近付いた時、初めて真衣さんが右腕を動かす。
フワッと宙を舞う羽衣と短剣がぶつかったが、短剣は音もなく横に逸れた。
羽衣には傷1つない。
「まだです!」
さらに、坂上自身による第二撃。
持ち上がった右腕の下を掻い潜るようにして後ろに回り込む。
「ほぉ……」
俺の隣にいる河瀬先輩が愉快そうに声を漏らした。
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