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金属音を響かせて地面に落ちる4本の短剣。
そして坂上の斬撃も、真衣さんとの間に現れた光の壁によって遮られた。
「魔法で防ぐとは思わなかった?」
「くっ……!」
正直、あの羽衣の能力がスゴくて魔法は使わないと思っていた。
坂上はキッと真衣さんを睨み付けてはなれようとしたが、時すでに遅し。
真衣さんの羽衣が、まるで意志をもっているかのように坂上に巻き付いた。
「きゃっ! なにコレ、動けない……」
身体をよじり、必死に抜け出そうとする坂上。
だが、一向に変化はない。
「終わったな。久遠さんの勝ちだ」
俺の隣にいる河瀬先輩が呟く。
確かに誰が見ても一目瞭然だ。
「私の勝ち……で文句ないわよね?」
真衣さんが動けない坂上に右手を向ける。
いつでも魔法を放てるということだろう。
対する坂上には、
「……参りました」
その選択肢しか残されていなかった。
――やっぱり誰も勝てないか……。
龍牙達も宮世達も、そして解放された坂上も、みんな表情は暗い。
俺だって、あんな力の差を見せつけられたからな。
勝てるとは思ってなかったけど、さすがにツラい……。
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