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「んじゃ、やるか」
「…………」
――鬼だ、この人……。
フラフラと立ち上がった俺は、力の入らない腕に2本の刀を召喚する。
瞬間、ズシッとした重みに腕が悲鳴を上げた。
――重い。持ってるだけでも精一杯だ。
手放したくなるのをぐっと堪える。
そんな時、救いの言葉とも言える台詞を先輩が発した。
「あ~、光輝。とりあえず1本だけでいいぞ」
「……はい?」
念の為、聞き間違いじゃないことを祈って聞き返すと、
「だから、片方いらない。オッケー?」
「オッケー、オッケー!」
先輩が言い終わらない内に俺は片方を消していた。
それを両手で握る。まぁ、さっきよりは断然楽だ。
まだ重いけど……。
「じゃあ、やるぞ」
二度目の言葉と共に、先輩の表情が真剣なものに変わる。
俺も目を瞑り、自身の中でオン・オフのスイッチを切り換えた。
短く息を吐き、握る力を強めて目を開く。
「お願いします」
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