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「刀にはどんな型があるか知ってるか?」
先輩の問いに、俺はマンガとかで見た知識を思い出す。
「え~っと、縦に振り下ろすのと、横に斬るのと、斜めと、斬り上げ……ですか?」
まぁ、大雑把に言えばな。と言って、先輩は頷いた。
「この基本の型を毎日十本やれ。まずは刀の重さに慣れるんだ。
って言っても、光輝は二刀流だからあんま意味がないだろうけどな。それでもやらないよりかはマシだ」
そう言った先輩は俺から少し離れ、パンッと両手を叩いて乾いた音を出す。
――えっ? 何? 何かあるのか?
当然、わけのわからない俺は首を傾げた。
何となく、何となくだが、先輩の表情は、やれと言ってるように見えなくも――
「どうした? やれよ」
……間違ってなかった。
俺は小さくため息をつくと、両手で握り締めている刀を頭上に持ち上げる。
――まずは、上から下に。
上段からの振り下ろし。
目の前の大気を斬り裂くような気持ちで、思い切り刀を振るう。
元々の重量に遠心力が合わさって、振り下ろした後で体が崩れた。
「っと……」
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