特訓開始

27/35
前へ
/217ページ
次へ
一度深呼吸し、腕に魔力を走らせる。 部分強化。体の一部だけ強化する魔力の消費が少ない身体強化魔法。 本来ならば、接近戦の俺は身体全体を強化する身体強化なんだが、今は腕しか使わないからこっちにした。 さっきまで筋肉痛で重かった腕が嘘のように軽い。 その状態で、再度刀を振るう。 今度は左から右へ。右足を踏み込みながら横に一閃。 遠心力に流されることなく振り抜いた。 さらに下段からの斬り上げ、斜めの袈裟斬り、おまけに突き。 言われた通りそれを10回繰り返す。 最後の一振りを終えて刀を正眼に戻すと、一息つくと同時に腕に流していた魔力を止めた。 重さ、痛み、疲れ。いろんなものがどっと押し寄せてくる。 俺は握っていた刀を消すや否や、倒れるように座り込んだ。 「おいおい。バテるにはまだ早いぞ。それに魔力使ったら意味がないだろうが」 隼人先輩が愚痴りながら近付いてくるが、生憎と返事をする余力がない。 そんな俺の様子を察してくれたらしく、先輩は呆れたようにため息を零して口を開いた。 「ったく、10分だけだぞ」 そう言った先輩は踵を返して嵐の所へ。 ありがたい。しっかり休ませてもらおう。  
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8110人が本棚に入れています
本棚に追加