8110人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は握っていた刀を消し、両手を上げる。
降参のポーズだ。
それと同時に、首に当てられていた刀が離れていく。
「惜しかったな。まっ、まだまだお前達には負けねぇよ」
そう言って、俺の肩にポンッと手を置く隼人先輩。
そのまま俺の横を通り過ぎ、ヒラヒラと片手を振って訓練所を出て行った。
今日は終わり……だよな。先輩もそう言ってたし。
「ふぅー……」
思わず息が漏れる。
先輩の動きについていくのに、こんなに疲れるなんて……。
ほんの数分しか戦ってないのにな。
「おーい、神城」
そんな時、背後から声が掛かる。嵐の声だ。
振り向くと、疲れきった表情の嵐がヨロヨロと近寄ってきていた。
「大丈夫か?」
声を掛けるも、嵐は返事をすることなく俺の肩に両手を置く。
どうでもいいが、体重を掛けるな。重い。
「疲れたー。鬼だな、師匠は。明日からもっとキツくなるんだろ? お前も大変だな」
コイツもそれなりに大変だったみたいだな。
少しぐらいは肩を貸してやるか。
最初のコメントを投稿しよう!