8111人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなことよりさ――」
「そんなこと? 秋雨、お前今そんなことって言ったか?」
「はいはい、そんなことでしょう。まったく……」
翔が遮り、嵐が食い付き、宮世が止める。
それが何年も見ていなかったような光景に見え、思わず頬が緩んだ。
「嬉しそうだな、光輝」
それを見逃さなかった彩華がそう言ってくる。
「あぁ、やっぱりみんなといた方が楽しいからな。これでアイツもいれば言うことなしなんだけど……」
アイツとはもちろん如月のことだ。
「……そのことなんだが――」
「皆さん! 急がないと遅刻ですよ!」
突然大きな声を出した坂上。
その言葉に時計を見てみれば、針は8時10分を指していた。
学園が始まるのは8時30分から。
ここから学園までどのくらい距離があるのかは知らないが、急いだ方がいいのは確かだろう。
さすが優等生。
「んじゃ行くか。それと彩華、さっき何か言いかけてなかったか?」
「いや、大したことじゃないんだ。気にしないでくれ」
濁したような言葉が気になったが、時間のない俺達は慌てて学園まで駆け出した。
……病院ではお静かに。
最初のコメントを投稿しよう!