大会の行方

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「そう、それよ!」 俺の皮肉を耳にした如月は人差し指を突き付けてくる。何がそうで、何がそれか、さっぱり意味がわからん。 「何が?」 「今回のことでアンタには世話になったし、同じ力を持ってる人がいるってことがわかって安心した」 無視かよ……。 「だから、その……」 如月は顔をやや紅潮させながら口籠ると、 「ちょっとはアンタのことを認めてあげる。いつまでも『如月』なんて他人行儀な呼び方はどうかと思うわ」 顔を俺とは反対の方向に向け、投げ遣り気味に言い放った。 えーっと、つまり……。 「……名前で呼べと?」 「まぁ、アンタがそう取ったんならそういうことにしてあげる」 待て待て、なんか理不尽すぎるんだけど……。大体、他人行儀だったのは自分じゃないか。 「ほら、呼んでみなさいよ」 再び顔を向けた如月は、恥ずかしさを隠すように精一杯余裕を装って笑みを見せる。 なんかムカつく。そう簡単にお前の思い通りになると思うなよ、如月。  
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