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『100-7はいくつになりますか』
『自分の名前言えますか?』
『自分の年齢が言えますか?』
『今日は平成何年何月何日ですか』
『ここはどこですか』
『どこに来てるんですか』
『ここに品物並べるのでよく見て覚えて下さい』
『ではさっきここにあった物5つ答えてください』
『野菜の名前を10言ってみてください』
診察室で繰り広げられる一問一答
認知能力を調べる検査。
先生の机の上にボールペンや定規、様々
数種類の物品を置き
「ここにあるものを覚えてくださいね」
と患者に告げて物品をしまい
「何が置いてありましたか?」
と患者に物品名やいくつ答えを挙げられるか
を問うもの。
ドラマで見た事あったけど
目の前で母にそれがなされている。
「えっとー・・」
三種類程答えていた母だけど
緊張もあるのだろう
答えるのに時間もかかっている
「ここにあったもの言えばいいんだよ」
苛立つような口調の先生
え?
突然の先生のそれに余計な恐る恐るの母。
「なんだこんなのも答えられないんか!」
「今、ここにあったでしょ?
それを答えるんだよ!」
随分乱暴な言い方に更に答えにつまる母。
『えっと・・・えっと』」
上手く返事出来ない
「わかんないかなあ答えてみなさい」
呆れながらの先生が
「あんたが娘さん?あんたがだんなさん?」
MRI撮影の画像を指しながら
「これ見てここ!白くなってるでしょ?
萎縮もしてるでしょ! ここ」
父と私を見ながら面倒そうに
「あのね、これ認知症だから!こらなあ認知症!
見てみな?、目がトロンとしてんだろ?
こんな目してんじゃダメだ、ダメだ!
何もわかってないよこんなん」
え?なに?
なにを言ってるの?
先生の言い方に驚いた。
病名よりも。
待ってください先生、
目の前に母がいるのに
怯えて動揺して小さくなってる母の姿
何も感じてもらえませんか?先生には。
言葉を出したかったけど
出せない。
告げられた病名と
投げやりな先生のそれとで混乱もあったから。
先生の言葉に私と父を交互に見つめる母
今にも泣き出しそうな
不安な顔してる
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