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「何かが胸の辺りでつっかえるみたいな…苦しいみたいな風になったりはしたことないか?」
何が言いたいのかは分からないがとりあえず思いつく答えを口に出す
「胸焼け?」
美空の頭上にはチョップをする寸前の亮太の手
だがその手はおろさない
美空の経験上、無意識のうちにこの問いの答えを遠ざけているのかも知れない
だからそっと手を引っ込める
「しかも胸焼けは気持ちの問題じゃない」
「う、うるさい!」
手を引っ込めるとまたカレーを眺める
「この問いの答え…つまりはミラクさんの病気の原因だけどな?」
亮太が呆れたようにそう言うと美空が待ってましたと言わんばかりに目を輝かせる
「別にミラクさんに限ったことでは無く、案外誰にでも起きる」
「じゃあ亮太もなったことあるの?」
一瞬
亮太の目付きが変わる
だがすぐにいつもの、いつもよりダルそうな目になる
「……あるよ」
「へぇぇぇ……」
「お前はどうなのか知らないけど…片瀬ちゃんとかなりやすそうだな」
「由美が!?」
「落ち着け。多分瞬間で治るから」
ほっと胸を撫で下ろす
「じゃあそろそろ答えの病名…何て言うの?」
ちょっと嫌そうな、恥ずかしそうな表情になるとふいっと顔を背けて本当に聞こえないぐらいの声量で亮太は呟いた
「こ……恋の病」
次の日美空は若干の筋肉痛に見舞われた
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