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それと、白飯にかれえをレンジにて温めあげたものを混ぜ終えたのが、また、見事に、弁当半丁まるまるかけて分けて敷き詰めておられたので、私は何事も気を悪くせないように、じっくり、よほど伺いながら、その大体を知り、陰口を叩かれないように願いながら、口に、唯静かに運んでいました。
その分、くしゃみが二度も立ててしまいました――なぜかしら。
腰から、持ち出した冷水をさんのいち程飲み込み、据え付けの小さなサラダを口直しに召し上がりました。この時分、酷にもすべてを忘れていました。ですが、脳裏になにかが通ってゆきました、感じたのです――何だったのかしら。ああ、たいしたことなく、このサラダ、あとそうそう、ぎょうざまで、ないしは一体入るだろう禾と悩んでいただけでした。
袋の中から覗く、少しワクワクしながら持って来た鯖の缶詰など空けず終いの空に笑われた。
……我にかえると、まだ十時刻だった。
――七月、最後の或る男の手記より。
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