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遺跡全体に轟く雷鳴と振動音…。
復活の儀式が成功したのか、それとも失敗したのか…。壁画の間に兵達が押し寄せる。
ギ…ギギギ…。
壁画に切れ目が現れ、それが扉の様に開いていく。
そこには闇を彷彿とさせる漆黒の剣を右手に構え、頭が隠れる程の黒のローブを纏った者が立っていた。
「おぉ…これが古の魔王…破滅をもたらすとされる者か」
バルドスは両手をわなわなと震わせながら、術の成功と魔王の復活に声にならない興奮と畏怖を抱いていた。
「愚かな人間よ、浅ましき道化者達よ…」
漆黒の魔王は落ち着き払った声で言葉を口にした。
「何故我を目覚めさせた…暗き深淵の果てに、永遠の眠りに今暫くはこの身を任せておれたものを…」
ギィン!!
右手に構えていた漆黒の剣を床に突き刺した。明らかな不快感を抱いているようだ…。
「そうかそうか…これが望みだろう…?お気に召すといいのだが…例のモノをここへ」
バルドスの声に、呪術師二人が大きな袋を担いで魔王の前へ歩みでる。
「本来ならば犯罪者の中から、特に穢れた者を用意したかったのだが…手違いで命を亡くしてな…代わりを用意したのだ」
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