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袋の中から出てきたのは、聖職者の着る白いローブの上に白く短い布を纏った女だった。
その顔に見覚えがあった…。何故だ…どうしてお前がそんなところに…止めろ、止めてくれ!
「ソフィア!!」
魔王の前で布から出された彼女の名前を叫ぶ。だが彼女の耳には届いていないのか、彼女はそのまま魔王の側へ歩み寄る。
ソフィア…聞こえないのか俺の声が。
「フヒヒヒヒ…ソフィアよ、その身を魔王へ 捧げるが良い」
…生け贄。嫌な言葉が頭をよぎる。背中を冷たい汗が伝い落ちていくのがわかる…。
「バルドス、これは一体どういうことだ!?」
バルドスの腕を掴み詰問する。帝国の総司令だとか、神事官だとかそんな肩書きは関係ない。あいつは…
「フヒヒ…『グラハム総司令官とあの娘は親しい間柄である』とある方から噂を耳にしてな…利用させてもらっただけのこと」
「貴様…」
ガシィッ!!
兵の1人が突然背後から迫り、一瞬で羽交い締めにされた。
「何をする、放せ!!」
両の腕に力を込めるも、にわかには信じがたい力で腕を抑え込まれる。
「放せと言っている!聞こえないのか?!」
腕を羽交い締めにしている兵へと顔を向ける。
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