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朝の7時半ごろ。
ヴィラート国の東の方にあるサンリーブという名の街。
そこの下町は朝で一番活気付く時間となっていた。
さほど広くない道にはたくさんの人が往来し、朝市がひらかれ人々の話し声や客を呼び掛ける声でとても賑やかになる。
それは今日も例外ではなかった。
「……あーー、煩い……。
眠れん……。
朝なんて来なきゃいいのに……」
部屋の中からでもガヤガヤと煩く聞こえた騒音に目を覚ましてしまったのかブツクサと文句を言いながら、その人物はベッドから上体をゆっくりと起こした。
その人物は肩に届くか届かないほどの短めの黒髪。
自分で切っているのか一応様になっているが長さはバラバラだった。
そして大きな黒い瞳に、可愛らしい顔をした14、5歳くらいのーー
・・
少女だった。
先ほどの朝からやる気のない発言をしたのはこの少女……。
見た目は清楚で可愛らしい少女の名前は、
リューカ・レイエス
という。
*
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