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彼女の家に限ったことではないが、この地区の家の壁は薄い木の板でできている。
もちろん薄い木の板に防音機能はあるはずもなく、外の音は駄々漏れである。
リューカはフワッと大きな欠伸をして、モソモソとベッドから降りた。
本当は二度寝をしたいところなんだが、こんな騒音の中でもう一度寝ることができるほど自分の神経は太くない。
(あ~あ、田舎でもいっからもう少し静かなところに住みたいなあ)
などと、どうでもいいことを思いながらリューカは窓に近づいてカーテンをシャーと開ける。
眩しい朝日にリューカは目を細めた。
リューカの最悪な気分とは裏腹に空は清々しいほどの晴れで雲ひとつない快晴の空だった。
「眩し~。いかにも入学式日和って感じ」
この空を見ていると最悪な気分も吹き飛んでしまうような気がする。
不意に外の空気が吸いたくなってリューカは窓を開けた。
心なしかガヤガヤとした騒音が大きくなったような気がするが、今はそんなこと気にしない。
窓を開けると、涼しい朝の空気がリューカの肌を撫でた。
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