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「姉さん、もう朝だよ……って起きてたんだ」
何の前触れもなしに声がしたと思ったら、ノックもなしにいきなり扉を開けられた。
リューカは驚いて、ネックレスを握り締めたポーズのまま固まる。
リューカはギギギギと油の切れたカラクリ人形のようにぎこちなく首を動かして、無遠慮にノックもせずに扉を開けた人物を見る。
長身で、肩のところまで長く伸ばした明るい金の髪を一つに束ねている。
そして若葉のような鮮やかな緑の瞳。
少々目付きが鋭いが、女顔と言ってもいいほどの整った顔立ち。
彼の名は
ユーリ・レイエス
リューカの双子の弟である。
双子っといっても二人は恐ろしいほど似ていない。
顔も性格も何もかも……。
一時期リューカは本当は双子じゃないんじゃないか?と疑っていた時期があった。
だが、どんなに似ていなくても二人は双子である。
ユーリは、リューカがネックレスを握り締めたポーズで固まっているのを見て、訝しげな表情をする。
「何やってるの?姉さん」
「てか、入って来るときはノックしろよ」
リューカはユーリの質問には無視してそう言った。
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