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「ヒョン、またその歌ぁ?たまには違うの口ずさんでよ」
毎回毎回同じ歌を歌うユチョンに、チャンミンは聞きあきちゃったよ、と呆れていた。
「え?俺……また歌ってた?」
すかさず「気づいてないんかい!」と、車内にいた全員が彼に突っ込む。
「てゆーか誰の歌なの?英語だし、洋楽?」
「んー……よく分かんないんだよね。女の子が歌ってた……ってゆーか、弾き語り?」
「ふーん。」
聞いてみたはいいものの何ともパッとしない回答に、長くなりそうと感じたチャンミンはそれ以上聞くことをしなかった。
気づくといつも無意識に口ずさむその歌は、ユチョンの思い出の歌だった。
というよりは、〝人生を変えるほど衝撃を受けた歌〝と言うべきだろうか。
言われてみれば、彼女が歌っていたその曲が誰の曲なのかなんて、ユチョンは考えたこともなかった。
ただ鮮明に記憶に残るのは、暖かい歌声と……穏やかに奏でるピアノ。
そして……、
泣いているように見えた、あの女の子。
「もっかい会いたいな……」
車内の誰にも聞こえないように、ユチョンはそっとつぶやいた。
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