閑章 《間者の線》

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元々、大きな瞳を限界までに開く藤堂。驚いたのは藤堂だけではない。その部屋にいた者全員が驚いた 「両親が幕府に殺されたってどういう事だ歩?」 「安政の大獄は皆はん覚えてまっか?吉田稔麿達の師匠、吉田松陰と共に音羽ちゃんの両親は殺されてん」 「だから音羽ちゃんは幕府に怨みを……?」 震える声を出した藤堂に歩は同意の意味で首を縦に振った 「なら彼女は間者という線は……」 「それはあらへん。彼女の家に行ってみてこの手紙見つけてんけど」 歩の懐からは数枚の文が出てきた。土方達はその文を開くと音羽と稔麿達の文であった 稔麿の文は何か貶している文で、晋作、九一、俊輔は音羽の身体を労っている文、玄瑞は身体の事や土方達の事を書いていた 「……吉田って本当に音羽の恋仲なんですかね?貶しまくってるじゃないですか」
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