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止まらない涙を拭う事さえせずに、あたしはただ胸の痛みに苦しんでいた。
恋なんて、
もうしたくないよ。
こんな痛み、もう味わいたくない…。
そう思った瞬間だった。
いきなり、目の前に光が差し込んだ。
「…え…っ!?」
あたしは驚きで目をパチクリさせた。
それは、鍵をかけた筈のドアが、キィーと音を立てて開いたから……。
そして、ドアの前に立つ人物は……
――恭介くんで。
「…お前の姉ちゃんから拝借しといた。」
……か、鍵…?
その鍵は以前、お姉が使ったあのスペアキーで。
恭介くんはそれを指でくるくると回しながら部屋に入ってきた。
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