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タクシーの窓からは相変わらず賑やかな夜景が流れていく。
聞こえてくるラジオは「来年消えそうな芸人」の話題で盛り上がっている。
ありがたいことに俺たちの名前はあがっていないけど、たまたま俺の耳に入っていないだけかもしれない。
いま一番旬な芸人。テレビで見ない日はない。小学生がなりたい大人。
とにかく今の俺たちは乗りに乗っている、ようだ。でもブームなうちは、本当の人気じゃない。
このブームは、きっともうすぐ、驚くほどあっけなく、過ぎ去っていくんだろう。
「なあ、春日ぁ」
「なんじゃい」
「俺たちさあ、もうすぐ終わっちゃうのかなあ」
俺は春日の肩にもたれかかって、窓の外を眺めながら独り言のようにそうつぶやく。
春日は反対側の窓を見ながら、こういったんだ。
「ばかたれ、まだ始まってもないだろ」
俺、おまえと居られてよかったよ。
なあ、春日。
俺たちはこれから何度もくじけて、すっころぶかもしんねえけど、
それでも2人でまた起き上がっていこうな。
希望の光なんかさ、なくったっていいんだ。
お前とこうして、生きて行けるなら。
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