真夏の夜の夢

3/8
前へ
/354ページ
次へ
太く逞しく硬い春日の腕が、俺の太ももをぐい、と持ち上げる。 よっこいしょ、という掛け声とは裏腹に、いとも軽々と俺の体を持ち上げてしまう。 「・・・重くねえか」 「ん~」 俺の体重を推し量るようにちょっとだけ持ち上げてみて、前に比べればちょっとな、と笑う。 うるせえわ、と後頭部を叩いてやった。いつもよりずっと優しく。 のっし、のっし、のっし。 ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。 あぶなげない足取りで、春日はしっかり前を向いて歩いていく。 ああ、あったけぇな。 春日の背中は。 そうだ、俺はいつだって春日の背中が大好きだったんだっけ。
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!

419人が本棚に入れています
本棚に追加