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太く逞しく硬い春日の腕が、俺の太ももをぐい、と持ち上げる。
よっこいしょ、という掛け声とは裏腹に、いとも軽々と俺の体を持ち上げてしまう。
「・・・重くねえか」
「ん~」
俺の体重を推し量るようにちょっとだけ持ち上げてみて、前に比べればちょっとな、と笑う。
うるせえわ、と後頭部を叩いてやった。いつもよりずっと優しく。
のっし、のっし、のっし。
ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。
あぶなげない足取りで、春日はしっかり前を向いて歩いていく。
ああ、あったけぇな。
春日の背中は。
そうだ、俺はいつだって春日の背中が大好きだったんだっけ。
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