Base Story

5/9
前へ
/354ページ
次へ
なんてことを考えていると、入り口あたりでどよめきのような声があがった。 つられてそちらを見ると、なんとそこにいたのは僕達若手芸人の永遠の憧れ、松本さん。 キャン○スナイトのプロデューサーとはよく知っている仲だとかで、店員さんが別室でご飯を食べてた 松本さんにココのことを教えたらしい。 「なんやそしたらここで俺も飯食おうかな」なんて笑いながら入ってきたから、若手芸人が立ったり焦ったりしながら 松本さんに席をあけたり、メニューを渡そうとしたりしている。 どこに座るのかな。 「おお、若林やんか」 そう声をあげると、なんと松本さんは僕達の席へとやってきた。 思わず僕と土屋君が立ち上がると、松本さんは「ここ、ええのん?」と聞いていままで僕が座っていた場所に 腰を下ろした。周りの空気がちょっとザワついたのを僕は感じた。あの松本さんが、若林の隣に。 若林は緊張してはいるものの、東京っ子ならではの無機質な雰囲気はいつものまま。 妙にそわそわしている芸人の横には、やっぱり松本さんだって座りづらいだろう。 若林は周りからみると、「松本さんに対しても、すこしもびびっていない」ように写る。 だから松本さんは気楽な調子で若林や周りの人間と話ながら、そこですっかり居心地良さそうに落ち着いてしまった。
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!

419人が本棚に入れています
本棚に追加