Base Story

7/9
前へ
/354ページ
次へ
「なんや今日はピンクのあれはおらんのか」 そう松本さんが言うと周りがドッと笑う。 「あ~春日、いえ、『あの』春日は今日はピンの仕事なんですよ」 そう若林が返すと、松本さんも周りもまたドッと沸く。 「そしたら今日は若林の面倒見たらなな。ん。」と、若林へ優しくビールを注ぎだす。 そのとき、なんか、ちょっとだけ危ない感じがしたんだ。 案の定、1時間も立つと若林の様子がおかしくなった。 目はトロンとして、白い肌はピンク色に染まり、舌足らずな喋り方はもっとおぼつかなくなった。 もしも合コンでこんな女の子がいたら、きっとお持ち帰り決定だろう。 土屋さんも杉山さんも、松本さんに遠慮をしながらも、若林に目を奪われてしまう回数が増えた。 僕だってアルコールがそんなに得意なわけじゃないし、やっぱり松本さんがいて緊張してるから酒のまわりが早い。 どこかで上手に若林を誘い出して、先に帰してしまいたいけれど、上手く事を運べるかどうか自信がない。 でもこのままいくと、松本さんに若林を連れていかれるかもしれない。 どうやって、この状況を打開しようか。 救世主は、やっぱりあの男だった。
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!

419人が本棚に入れています
本棚に追加