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なんとなく眺めていた、ロッカーの名札入れにはまった
『春日』っていう几帳面な文字が、揺らいだ。
まるでタックルのような激しい体当たりで
先輩にのしかかられて、俺の体が横倒しになったからだ。
「ちょっ・・・せ、んぱ・・・やっ・・・」
満足に声があがらない。
抵抗してもびくともしない。
そんな自分に情けなくなった。
「若林っ・・・俺、お前のこと・・・ずっと・・・」
熱い息が耳にかかる。
ねとり、とした舌が首にまとわりつく。
やだ、やだ、やめろ。
ゴツゴツした手が頬をつかんで、
無理矢理俺の顔を自分の方へ向ける。
グゥ、だか、ムゥ、だか、よくわかんない
声と一緒に、先輩の唇が俺のに押し当てられる。
やだ、やだ、違う。
春日のと、全然違う。
「・・・っや・・・めろっ!!」
力を振り絞って、先輩の肩を押し上げた。
うまく、いったと思ったんだ。
逃げられた、って。
ガッ・・・
痛み、というより衝撃だった。
先輩の拳が俺の左頬に思い切り食い込んで、
目の前がチカチカと光ってから、ぼやけた。
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