自己主張

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殴られて星が見えるなんて、漫画みてぇだな。 なんて思いながら、切れた口の中を嘗め回して くる先輩のむさぼるようなキスをぼぉっとしたまま 無抵抗に受け入れた。 先輩の手は不器用に動き回って、 破れちゃうんじゃねぇかっって勢いで 俺のシャツを脱がしはじめた。 あ、俺、やられちゃうんだ。 目に見えるのは、薄汚れた天井と蛍光灯。 それは春日とここで見たときのまま、何も変わってなかった。 コンコン。 間の抜けたノックの音が聞こえた。 こんなときに、ご丁寧なことで。 こんだけ空気が読めないのは、あいつくらいだな、うん。 はた、と動きを止めた先輩。 ぐるり、とドアの方を向く俺。 ガチャ、と扉を開けた春日。 3人の視線がからんだ、と思ったときには 部室中にものすげぇ音が響き渡ってた。 春日が先輩に本番さながらのタックルをきめて、 ベンチから図体のでかい男が2人、転がり落ちた。 ベンチの横につったったまま、俺がみたものは。 先輩に馬乗りになって、頬を殴りつける春日の横顔。 誰も殴ったことないはずなのに、やたら慣れてて、 やたら迫力があって、俺でさえゾッとした。 シャツがはだけてるのも忘れて、 口が開いたまんまなのも忘れて、ただただひたすら春日の横顔だけを見てた。
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