若春物語

朝焼け

「いや～僕も30になるんでね、デートとかしたいと思うんですけども」
「誰がしたいんだよ！」
「俺が言ってるんだから俺がしたいんですけどね」

【朝焼け】

夏休みも残すところあと2日。
たまりにたまった宿題を一気に片付けようということで、
家族が旅行に行って今夜は家に一人ぽっちだという友人の家に
みんなで集まることになった。
おのおの教科書やノートやお菓子やジュースや
ゲームソフトやエッチなビデオなんかを持ち寄って、
ぞろぞろとそいつの家へと押しかけた。

「とりあえずピザとか取ろうぜ、ピザとか」
「ダメだよ、メシは宿題済んでからだよ」
友達を呼んでもいいけどリビングは汚すなと言われたようで、
そいつの8畳の部屋で男6人押し合いへし合い、
わいわいがやがや。

一足遅れて春日がやってきた。
家から持たされたというスイカを丸ごと持ったまま
真っすぐ俺の横へとやってきた。
すでに俺の隣に座っていたやつに
「なんだよお前、暑苦しいな。あっち空いてんだから
向こういけよ」なんて言われても、
「まあまあ」なんて無理矢理割り込んできたのが、
なんかちょっとくすぐったくて、
なんかちょっとだけ嬉しかった。