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春日のノートをせっせと書き写しながら、
たまにぶつかる春日の肘とか、
あぐらをかいたお互いの膝が触れてたりするのが
気になって気が散って仕方ない。
「いち抜けた」
「にぃ抜けた」
ぜってぇ適当に違いないけど、さっさと宿題を
終わらせた奴から順にゲームやお菓子に手を伸ばし始める。
窓の外がすっかり暗くなる頃には、
テーブルの上はピザやらお菓子やらでいっぱいで、
誰が持ってきたのかわかんないビールと焼酎で
酒盛りが始まってた。
お年頃の男が集まって酒を酌み交わして
喋ることといえば、まず女の話か猥談だ。
やれ誰々はあいつと付き合ってるとか、
やれ誰々はもうどこまでいったとか。
くだらない話に花を咲かせていると、
一人のやつがガラリと窓を開ける。
「なんだよぉ、エアコンの冷気が逃げちゃうだろ」
「だってよ、この部屋ものすっげぇ酒くせぇぞ」
開け放った窓から流れ込んできたのは、
ムンとした真夏の蒸気。
途端、いきなり人いきれの中に放り込まれたような気がして、
息苦しくなった。
ぶわ、と体中の毛穴という毛穴から汗が出るような気がして、
視界が滲んだ。
だって春日の肘が俺の肘にあたってる。
春日の半ズボンから出た膝が、俺の膝にあたってる。
じわじわ、じわじわ。
汗が染み出る俺の肌が、どんどん春日の肌に吸い付いていくような
そんな気がしてどんどん動悸が早まった。
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