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春。
それは、出会いと別れの季節という。
しかし、俺は別れしかない。そしてこの時期になるとその別れを鮮明に思い出させる。
俺の別れはいつも残酷なものだった。
逆に俺に出会いなどない。むしろ、いらない。
出会いは別れを生む。
なぜ人は出会いを求めるのだろう。なぜ人は繋がりを求め、輪をつくるのだろう。
人との繋がり?友情?愛情?吐き気がする。
だから、本当は今日の始業式には行きたくなかった。
周りが頑張って友達をつくろうとしてるのを見聞きするのは、酷だ。
想像しただけで憂鬱になる。
そんな面もちのまま、部屋を出て、エレベーターを使い、マンションの外に出る。
そんな気分の俺を迎えてくれたのは、満開の桜だった。
こんな別れを思い出させる、出会い溢れる春は嫌いだが、桜は好きだ。
桜が好きだった両親との明るい思い出を思い出せるから。
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