清明 ~出会い~

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今でも黒板やらホワイドボードやらを使う所はあるけど、高校に関して言えばほとんどが電子板の時代だ。 名前がイで始まるから、窓際は確定だ。座席表を見ると、前から4番目のやはり窓際だった。 教室でもさっきのような声は聞こえてくるが、席に付きシャットアウト。 席に着くと、外を見る。 校庭にも桜が咲いていて、風に誘われるかのように花びらが散る。 やはり桜は綺麗だ。 桜を見てれば、周りの雑音など聞こえてこない。 どうせなら1年中、桜が咲いていればいいのにと思う。 いや、春だけだからこそ綺麗に、そして儚く見えるのか。 春だけだからこそ、その記憶は輝かしいのか。 そんな彼を、こっそりと見つめる女子たちがいた。 「ねぇ、あの窓際の前から4番目の男子誰?」 「あぁ、あれ?井川鷹よ。去年同じクラスだった。」
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