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【超ハイスピード】  銃のトリガーを引こうと指に力を入れる。低い間延びした銃声が聞こえ、銃口から弾がゆっくりと回転しながらパンクに向かっていく。パンクは弾を屈みながら避け兵士へと駆ける。頬や右肘や左腿の傍を通過する弾の熱が空気を通して伝わる。真正面の兵士の腹を蹴り銃を奪い取り、銃床で鼻を殴る。兵士は鼻を腫らしながら仰向けに倒れていく。まわりの兵士たちがパンクへ銃を構えようとする。右、左と銃床を振り回し兵士二人の鼻を潰す。サイドカー側の兵士が弾を撃ち、弾がゆっくりと飛んでくる。パンクは傍の兵士の右腕を引っ張り、弾をその腕に命中させた。弾を受けた兵士はビクンビクンビクンとゆっくり大きく三回体を波打ちさせて倒れていく。撃った兵士の驚愕する顔を銃床で殴り、その隣の兵士の耳も銃床で殴った。扇型の逆側にいる兵士二名は銃を捨て、トラックへと駆け出そうとする。  小石が地面に落ちた。パンクは振り返り亜弍に「どうだ俺って結構強えだろ」といってから微笑んだ。 「パンク!後ろ後ろ!」と亜弍が叫ぶ。  二人の兵士がトラックから機関銃を降ろし、帯状の薬莢をセットしていた。 「いくら素早いお前でも機関銃には勝てまい!ミンチ肉にしてやれ!撃て!」と大尉の命令が下ると、射手はグリップを握り、 【超ハイスピード】  銃口から赤い閃光のような高速弾が歩くような速度で撃ち出されていく。こりゃちょっと早いな、と思いながらパンクは力一杯地面を両足で蹴り、機関銃の方へと電柱よりも高く飛びあがった。機関銃の射手は銃口でパンクを追いかけたが、銃口の仰角が六十度を越えるとパンクを追えなくなる。パンクは見上げる射手の顔に着地、右足の踵で背中を蹴り体を少し浮かせる。その反動を利用して薬莢を持つ兵士の腹を左足で蹴り、右足で顎を蹴る。兵士は苦悶の顔で仰向けに倒れていく。
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