94人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当、気の長い兵隊さんだねえ。埋蔵金も、のんびり探すんだろねえ」
釣吉が二人の間に入り「市中での揉め事は困ります」というと、湯乃川は手を振りながら「もうすぐしたら南方鹿楠博士や折田信夫博士も調査に参加してくれる。発見するのは我らが先でしょうなあ」というと、湯乃川は笑いながら歩いていった。
パンクは辛粕の帽子を拾い、不思議そうにツバに開いた穴を眺めていた。
「おい、それを返せ」というと辛粕はパンクから帽子を奪い被った。
「お前、なんで生きてんだ?」
「生きてて悪かったな」というとサイドカーに跨がり、爆音を撒いてエンジンをふかし、ローギアでクラッチを繋げて後輪をスピンさせて方向転換する。土煙と排ガスで辺りはしろばむ。
「亜弍、先ほどは失礼した。違う状況で出会ったらもっと紳士的に接したんだが。ではまた会おう」
最初のコメントを投稿しよう!