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「ほなよろしゅうね。お父ちゃん、うち、店番してるわ」  娘は汲んだ桶を持って店先へと歩いていき、浴衣の裾に真っ白な足首を残していった。 「こっちだこっち。適当に使ってくれ。少々汚しても構わん」  釣吉に離れのドアの鍵を受け取るとパンクは棺桶を抱えて中に入り、壁に立て掛けた。 「おっさんの娘、本当にベッピンだな。あれじゃあ近所の若衆とか変な連中が放っておかねえだろ」 「お前を雇ったのはそれもある。若衆は昔からの顔見知りだからまだいいが、奴等は何をしでかすかわからん。連中、なかなか埋蔵金が見つからずに気が立っておる。奴等からいきなり火を放たれた商店もあるくらいだ」 「ひでえ奴等だな」 「いやいや、火事は困る。だから一ヶ月ほど用心棒を兼ねた店番を願いたんだ」 「おっさん、任せとけ。あんなベッピンの娘だったら、俺の命をかけてもいいぜ」 「命を、か」  再び釣吉の眼光が鋭くなる。 「なんだよおっさんマジな目して。俺を取って食う気か?」 「いやいやそうじゃない。ところで名前は?」 「俺の名前はパンク、原西パンクだ。ほんじゃま、一ヶ月よろしく頼むぜおっさん」  パンクの手を釣吉はがっちりと握った。 「魚田釣吉だ。おっさんでいい。そうそう」釣吉はパンクから手を離し、押入れを開いた。「布団は中のを使ってくれたらいい。あと必要なものがあれば、亜弍にいえば揃えてくれるだろう。あいつは世話好きだしな」 「おっさんの娘、亜弍って呼んでいいのかな」 「ああいいぞ。早速店番に出てくれんか。俺は今から商店街組合の会合があるのでな」 「任せとけおっさん。亜弍に近寄る男は追い払ってやるぜ」 「パンク、客まで追い払うなよ」
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