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「姫様、お茶をお持ちしました」
淡い栗色の髪を持つ侍女は、あるじの少女のもとへ紅茶を運ぶ。
「ありがとう」
花がほころぶような、という表現がぴったりの微笑みを見せたその少女。
淡い金髪に、優しげな雰囲気をたたえる薄青の瞳。
柔らかい線を描く頬や、ふっくらとした桜桃色の唇。
まごうことなき美少女である。
彼女は侍女のあるじで、名をレディアという。
このディルティール王国の王女である。
ただし、ここは王宮ではない。
国境近くにある、王族の離宮とも呼ぶべき広大な屋敷。
王女の身分でありながらレディアがこんな場所にいるのは、静養のためである。
空気のよい静かな場所で病を治せとの、父親からのレディアへの命令なのだ。
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