第一章 強襲

2/14
前へ
/24ページ
次へ
「姫様、お茶をお持ちしました」  淡い栗色の髪を持つ侍女は、あるじの少女のもとへ紅茶を運ぶ。 「ありがとう」  花がほころぶような、という表現がぴったりの微笑みを見せたその少女。 淡い金髪に、優しげな雰囲気をたたえる薄青の瞳。 柔らかい線を描く頬や、ふっくらとした桜桃色の唇。  まごうことなき美少女である。  彼女は侍女のあるじで、名をレディアという。  このディルティール王国の王女である。  ただし、ここは王宮ではない。  国境近くにある、王族の離宮とも呼ぶべき広大な屋敷。  王女の身分でありながらレディアがこんな場所にいるのは、静養のためである。  空気のよい静かな場所で病を治せとの、父親からのレディアへの命令なのだ。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

204人が本棚に入れています
本棚に追加