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「あんま型っ苦しいのは嫌だから、俺は姫さんって呼ばしてもらうぜ。姫さん、俺はルードだ。よろしくな」
人懐こそうに笑った赤毛の青年は、レディアに軽く頭を下げる。
「ルード、無礼だぞ。隊長にあとで怒られても俺は知らんからな。――クーディです、殿下。お見知りおきを」
赤毛の青年を軽く注意したあと、黒髪も名乗る。
「僕はスールです。殿下、今後ともよろしく」
気楽そうに挨拶を済ませた栗毛の青年。
どうやらこの三人が、レディアの護衛のようだった。
初めて知り合う者たちの中に放りこまれて、レディアは少々緊張する。
これから、彼らと王都まで行くのだ。
なんだか不安を感じる。
それに、嫌な予感もする。
「じゃあ、姫さん。行こうぜ」
「ルード、無礼だと言っているだろう」
「あはは、行くよー。時間ないんだから、早くしてよ」
レディアは、青年三人に連れられて、屋敷を出た。
普段部屋にこもることの多い足は、時折もつれて転びそうになることがたびたびあった。
そのたびに支えられ、なんとか進んでいく。
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